Luxury is a State of Mind.
「豊かさ」とは、脳内空間にあるものだと思う。自分や他人の考えや感情、体調に囚われず、如何にフレッシュに物事を見続けられるか、その瞬間の体験にどれだけ素直に反応出来るか。常にその根源的な豊かさを鍛えていたい。
ふとした瞬間に起こる感覚の変容や意識の広がりーそれこそが生き続けている証拠であり、世界や宇宙とより繋がることを許してくれる。変化の刺激が与えてくれるストレスは、拘りからの自由を教えてくれるのだ。
刺激の取り入れ方を磨いていけば、一生心から笑っていられる様な気がする。そんな生き方をしたい。
瞑想やヨガを通じて自分との通信、
友人や家族との交流、そして
様々な芸術を通した世界との繋がり。
それらが今の私の「刺激仲間」たち。
2年前から谷中にあるアートギャラリー SCAI THE BATHHOUSE で働いている。そのキッカケとなったのは、私の心を動かしてくれた作家たち。
中でも特に私に開放感を齎してくれたのはタイの作家、アピチャッポン・ウィーラセタクン。
現代の余りにも現金な社会環境の中、彼の作品は心の奥に潜む真の感覚、「心の内側」みたいなところをくすぐってくれる。
それは何も難しいことではなく、幼少時代に持っていた感性みたいなもの。
形があるものだけではなく、夢や想像、感情の広がりも同じぐらい「現実」なのだと自然に理解し受け入れられる子どもの心。それがいつも自分の中に眠っているのだと思い出させてくれる。
アピチャッポンの映像作品「Fireworks (Archives)」を初めて観た時には、あまりの感動で動けなくなった。7分弱のそのビデオを繰り返し観ながら、しまいには閉廊時間までの一時間近く、その幻想的な世界を彷徨っていた。
花火のように記憶の破片がきらめき、ミステリアスでありながらも懐かしいような世界観に引き込んでくれるヴィヴィッドな映像。
アピチャッポンが描くファンタジーには、陰がある。遠い記憶や深い夢のような、他人のものでもなく自分のものでもない何かを味わわせてくれる。
そして、色々なバウンダリーが溶けていく…。
豊かな毎日のために、自分の感性を磨き、意識を拡張してくれる作品に出逢い続けたい。
©Apichatpong Weerasethakul
Fireworks(Archives), 2014
Courtesy of Kick the Machine Films and SCAI THE BATHHOUSE
「アピチャッポン・ウィーラセタクン 亡霊たち」展
Apichatpong Weerasethakul: Ghosts in the Darkness
DATE: 2016 年12 月13 日(火)~2017 年1 月29 日(日)
PLACE: 「東京都写真美術館」 東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内
http://topmuseum.jp