本屋さんが選ぶ、旅に持っていきたい3冊
心を豊かにするリュクスな大人旅にふさわしい3冊の本をブックストア「SNOW SHOVELING」の中村秀一さんがセレクト。本にキャラクターのある個性的なラインナップは、旅に新たな楽しさをもたらしてくれるはず。本のイメージにマッチする目的地も併せてご紹介。
「いつかは読みたい本の代表格として選びました。こちらは編訳なので多少読みやすくなっているところもポイントです。忙しい日常ではなかなか読めない長編小説は、ひとり旅のお供に。突然予定がなくなってしまったり、選択肢が少ないシチュエーションが好ましいですね。目的地はモロッコなどがいいでしょう。旅先では感受性が強くなるので、日常から切り離された世界に浸るのに最適です」
『失われた時を求めて 上』
マルセル・プルースト著 鈴木道彦訳
集英社
「実際イタリアに住んでいた須賀さんならではの目線で書かれたエッセイ。観光者ではなくその土地の人だからこその地に足のついた目線や細やかな描写がとても興味深いです。そういう視点を知ると、また今までとは違ったステージで旅がおもしろくなるんじゃないかと思います。読み終えると、その土地の仕組みがなんとなく身についたような感覚に。目的地はもちろんヴェネツィアですね」
『地図のない道』
須賀敦子著
新潮社
「ありとあらゆるタイプのラブレターをアーカイブした本で、一見ビジュアルブックのような見た目ですが立派な読み物です。英語が読めなくても十分楽しめますし、ちょっとした勉強にもなるかと思います。遠く離れた土地から誰かに思いを馳せてラブレターを書いてみたり、新しい愛の機会を得たり……愛に続く旅っていいですよね。目的地は愛を連想させる、パリがぴったりだと思います」
『Other People's Love Letters』
Bill Shapiro著
Potter Style
「旅に持っていく本でお薦めなのは、自分の一番好きな本、あるいは最も読み返している本です。読む場所を変えただけで、違った読み方ができる事を発見できるかもしれません。あるいは旅先で不安な事がある時や気を鎮めたい時などは、何度も読んだ本のページを開くだけで、まるで聖書のように呼吸を整えることができるかもしれません。そして旅先で出会った誰かに自分の大好きな本をプレゼント、あるいはお互いの本の交換などをするのも旅の醍醐味といえるでしょう(中村さん)」
中村秀一さん
ヒト・モノ・コトとの出会いを楽しめる場所というコンセプトの本屋&ギャラリー「SNOW SHOVELING」の店主。自身も旅と本をこよなく愛する。
SNOW SHOVELING
東京都世田谷区深沢4-35-7 2F-C
TEL 03-6325-3435
営業時間/13:00〜19:00
定休日/火、水曜